ご縁をいただいて、第2回つくば横の会に登壇しました。昨年開催された第1回も、実は参加だけしていましたが、昨年に増してパワフルな企画になっていましたね。

多人数の登壇者が要点だけさっと話してパネルディスカッションに入るというフォーマットも非常によかったと思います。私の講演で紹介したお茶会も多人数が登壇する点は同じですが、パネルディスカッションの時間をちゃんと取ってみてもいいな、と感じました。Twitter(Togetterまとめ)も、とても盛り上がっていました。

私の講演は「分野/職種/国境を超える科学技術のために」という大それたタイトルですが、要は「科学技術に関するコミュニティをどう作るか?」という観点で、これまでやってきたことを紹介するという内容でした。聴講いただいた方、コメントいただいた方ありがとうございました。

ふだんは研究内容に即した話ばかりしているので、こういうメタな話をする機会は貴重です。かねてより科学技術と社会の関わりに興味があって、学生時代に東大 立花ゼミに参加したり、藤垣先生の科学技術社会論の講義を取ったり、自分なりにいろいろしてきました。それが今、科学者・研究者という立場になって、ちゃんと当時の自分が見て納得できる態度を取れているか?という自己チェックの機会にもなりました。

コメントへの回答

まずは当日いただいたコメントにお答えします。

  • 「立花隆と飲みたい!」 そうですね!ご存知かと思いますが、立花氏はご病気されたのでハードルの高い要望です:)
  • 「それぞれの会の方針をなぜそのように設定したのかが気になる」 このブログ記事のあとのほうで詳しくお答えします!
  • 「産総研でこんなできるってすごい!」 ありがとうございます。ただ、産学など「横」を繋げることは私個人のみならず産総研のミッションでもあり、上司含め応援してもらっています。
  • 「学生カード…学生がやんちゃして力を発揮するのは大事ですよね」 ほんとにそう思います。
  • 「学生カードって何なのか具体的に知りたい」会場でもお答えしましたが、このブログ記事のあとのほうで改めてお答えします!
  • 「IoT等でソフト屋さんが回路ハード屋さんと同じようなことができるようになった。逆に回路ハード屋さんはどう協力できるか、してほしいか」 同じ「ような」ことができるようになったというのがポイントだと思います。まだプロダクトレベルに落とし込むには回路ハード屋さんレベルの知見が必要です。ただ、今後もプロトタイピング用ツールキットの進化は止まらないので、これまで属人的だった知見が徐々にソフトウェアに代替されるようになっていくでしょう。そのため、個別の回路ハードを作るだけでなく、そういったツールキットの研究開発に協力いただけるととても嬉しいです。そうすれば、ご自身も勝手にソフトウェアに強くなり、ソフト屋兼回路ハード屋さんになれると思います。(例えば日本だとWebコンパイラを作っているルネサスさんは興味深い例です。)
ポストイットでコメントいただきました!

ポストイットでコメントいただきました!

そして、スライドには直接書いていない、私からのtake-away messageまとめると以下のようになります。

国内をまとめて国外にアピールする

SIGPXという会はまだ設立したてなので今後どうなるか分かりませんが、私個人は

  • 国内でプログラミング体験に興味のある人を集めて知見を共有する
  • 国外(とくにアメリカなどの英語圏)の情報を国内に還流する
  • 国外に国内の知見を広げていく取っ掛かりにする

という目的意識を持って運営していこうと考えています。これは私が同じく幹事をしているCHI勉強会と似ています。ただ、論文紹介だけでなく自分たちの知見も共有しよう(国際会議へ投稿前のフィードバックももらおう)というふうに、もう一歩踏み込んでいきたいと思っています。

情報系は国際会議が主戦場なので、そこで存在感を示せるかどうか?が日本の研究を世界に広げていくカギになります。実際に、SIGPX設立後は、国際会議で海外の研究者にあったとき「国内でもこういう取り組みがあって」とWebサイトをすぐ見せられて便利だと実感しています。

コンテンツを軸に交流する

NO MUSIC, NO LIFEという言葉がありますが、それに限らず、人は誰もがコンテンツを享受して生きています。そんなコンテンツを創る人たちは文化的な社会のキードライバーです。また、コンテンツを創る人たちは(私の知る限り全員)知的好奇心旺盛という特徴があります。そこで、

  1. コンテンツを創る人たち
  2. コンテンツを創る人たちを応援する人たち
  3. コンテンツを創る人たちを応援することを仕事にしている人たち

の交流の場を作ろうと思って毎年一回名状しがたいお茶会を開催しています。

この3グループの間には、3.の人たちが作るツールで1.の人たちが創作をし、2.の人たちがそれを享受して1.の人を刺激し、そこから新しいニーズが生まれて3.の人たちを刺激する、という相互依存関係が成り立っています。生産者と消費者というような2項対立関係でなく、3つ巴の関係を意識するとバランスがよくなる気がします。

学生の間は「学生カード」を意識する

お茶会を作るきっかけになったのが、私が一時期幹事を務めていた東京大学 立花隆ゼミです。イノセンスに見る近未来科学という、コンテンツを軸に科学技術を紹介する企画を回した経験と、そのとき会った人々の縁が、お茶会に繋がっています。

立花隆ゼミは学部1-2年生を中心にジャーナリスト立花隆氏を囲むゼミで、立花氏の知名度を活かして科学技術に関わる多様な方々を取材し、Web上で記事化していました。本格的な小冊子も作りました。ゼミに所属する人は、編集班、制作班のような事務的な役割と、自分たちの興味ごとに集まる企画班を掛け持ちしていました。Web制作ができる人は制作班、そうでない人は文章の校正、デザインができる人は図の作成のように、各々の技術を持ち寄ってWebサイトを運営し、その上で自分たちの知的好奇心の赴くままいろいろな企画を回していました。

このように、「学生顔負け」なプロフェッショナリズムを発揮して、それなりに高品質な科学技術コミュニケーションのためのコンテンツを作ることができたと自負しています。そもそも学生といっても普通に働ける歳なので、本気を出したら(人間性を捧げたら?)プロに負けないクオリティになるはずです。それを実現するカギとなる「学生カード」の内訳は以下2つだと思っています。

  • 自由な時間: 講義時間以外全部好きに使える
  • 自由な立場: 社会の多くの人々との間に利害関係がなく懐に飛び込める

とくに自由な立場というのが大きくて、働きだした後だとどうしても「なぜこの立場の人が自分と関係を切り結ぼうとしているのか?」を意識するのですが、学生だと極端な話、誰に対しても「あなたのファンです」と無邪気に言えてしまいます。これを読んでいる学生さんは、ぜひこのカードを活かして、自分がどんな「立場」に身を置きたいか考えてみてほしいです。ちなみに、このブログには「学生向けおすすめ記事」がいくつかあります。右のサイドバー(スマートフォンの場合はページ下部)を見てみてください。

というわけで、今後とも「横」に浸潤する科学技術のために研究を頑張りたいと思います。応援よろしくお願いいたします!

登壇者の集合写真

登壇者の集合写真


No Comments

Be the first to start a conversation

Leave a Reply

  • (will not be published)