五年目を振り返る

博士課程を修了し、現職に就いてから早5年が経とうとしています。正確にはあと4ヶ月ありますが、年末お仕事が納まったタイミングで振り返っておこうと思います。これまでの振り返り記事はこちらから時系列での活動履歴はポートフォリオサイトでも確認できます

今年度は、肩書きが増えたり変わったりしました。まず、7月に本職に加えアーチ株式会社の技術顧問となりました。自分のやりたいことが変わったわけではなく、それを実践するための場が増えたという感覚です。早速 @mactkg が仲間に加わってくれて、ワイワイ楽しくやっていこうというところです。とりあえず技術書典5をスポンサーさせていただきました。具体的なアウトプットとしては、来年何かお披露目できるといいなと思っています。アニメ制作に興味のあるソフトウェアエンジニアや研究者の方は是非ご連絡ください。しばらくは、みなさんの時間を100%頂戴するのではなく、ゆるくご一緒できるといいなと思っています。プロボノ的な、あるいは週末兼業的な、気軽な関わりかたができます。

次に、本職の産総研では10月に研究員から主任研究員となりました。ちょっと偉そうです。でも、何が変わるというわけでもなく、のびのびデザインしたり、ごりごりコードを書いたりしています。むしろ、来年からパーマネントになれることが決まってリスクが取れるようになり、尚更デザインしたりコーディングしたりする時間を増やせている実感があります。そんな環境には、とても感謝しています。

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情報処理学会の学会誌「情報処理」に毎月楽しみにしている「先生、質問です!」というコーナーがあります。学生などの素朴な疑問に研究者複数名が真摯に答える内容で、情報処理に関わる質問はもちろんのこと、研究者のキャリアについての質問などもあり、論文からは見えない研究者像を浮き彫りにしてくれます。

そんなコーナーの2019年1月号に寄せられた質問は「100年後のコンピュータ科学はどんなことを研究しているの?」でした。全回答は情報処理学会のWebページに掲載されています。そうそうたるメンバーに混じって自分も以下のような回答を寄せておりまして、せっかくなので、この記事で少し補足しようと思います。

コンピュータ科学は,人の手で発明され継続的に改善されているコンピュータを対象とした学問なので,この質問は100年後のコンピュータ像から考える必要があります.

個人的に注目しているのが「仮想」に関する2つの技術です.まず仮想化技術について.かつては仮想化した計算資源の上でプログラムを動かすという発想でしたが,最近は逆に,プログラムやデータを用意すると適した実行環境がクラウド上に構築されます.次に,VRについて.センサ,アクチュエータ,インタラクション技術の進歩で,人の五感情報を入力したり再現したりする研究が進んでいます.100年後は,量子コンピュータ,分子コンピュータといった新たな計算資源や,ブレインマシンインタフェースといった対人インタフェースが高度に実用化されているかもしれません.

これらを併せて考えると,100年後のコンピュータ科学では,人が開発したいことを思い浮かべれば,適した統合開発環境(計算資源と,人が五感で感じられる実世界の環境)がすぐ構築されるプログラミング体験(PX)に関する研究が行われていると思います.やりたいことができる環境を瞬時に作れる未来,すごくワクワクしませんか?

Vol.60 No.1(2019年1月号)─情報処理学会

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この記事は「機械学習工学 / MLSE Advent Calendar 2018」12日目の記事です。先日開催された、機械学習工学関連の論文を紹介し合う「XX for ML 論文読み会」初回で発表した資料の内容を抜粋で紹介します。論文読み会に参加できなかった方も、当ブログ記事をPDFのお供にどうぞ。

発表資料PDF

なお、書いている人はHuman-Computer Interaction (HCI)と呼ばれるユーザインタフェースやインタラクションを研究するコンピュータ科学の応用分野の研究者です。とくにProgramming Languageの研究分野との隣接領域「Programming Experience (PX)」で、ツールキットやAPIの設計、統合開発環境の研究開発を行ってきました。詳しい研究内容はポートフォリオサイトをご覧ください。PX全般については情報処理学会学会誌で組まれた小特集が参考になると思います。

機械学習については興味はあるものの研究で初歩的なものを使ったことがあるだけですので、誤りなどあればぜひ教えてください。

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この度、アニメなどのコンテンツを幅広くプロデュースするアーチ株式会社(ARCH Inc.)の技術顧問になりました。転職ではなく、現職の産業技術総合研究所 研究員を主務としたまま、技術顧問を非常勤で兼務するかたちです。アーチからプレスリリースが出ています。

研究者がアカデミアだけでなく産業界でも必要としてもらえる実例として、研究者、企業人双方の参考になるといいなと思って、技術顧問の狙いや役割、経緯などを書いてみることにしました。あとは、自分の考えの整理も兼ねています。研究者仲間には驚かれるかもしれないので(転職と勘違いされたり…)その予防措置的な意味合いもあります:)

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四年目を振り返る

ときどき研究生活を振り返ってます。もう博士課程修了から4年が経って、その頃の記憶もだいぶ遠のいてきた気がします。前回は半年前だったので、ここ半年の進捗を画像多めで振り返りつつ、2018年度の抱負を書き留めておこうと思います。

あと、ここには挙げていませんが、研究プロジェクトの紹介などを行っている自身のポートフォリオサイトを1月に改装しました。けっこう見やすくなったと思うので、そちらもぜひ。

LIVE 2017基調講演

LIVE 2017基調講演

詳しくは研究プロジェクトのWebサイトブログ記事に掲載していますが、Live Programmingに関する国際ワークショップLIVE 2017で「User Interfaces for Live Programming」と題して基調講演しました。

これまでの私の研究を踏まえつつ、既存のプログラミング環境が抱えている問題を指摘し、どうすれば「プログラミング」という営みをよりよい体験にしていけるか、「ユーザ参加」「実世界」「時間旅行」の3つの観点から論じました。

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