キルラキル最新話でいろんなことが説明されて、おぉ!と思ったので相棒or進化という観点からメモ代わりにいろいろと。翠星のガルガンティアとキルラキルのネタバレを盛大に含むので、未視聴で気になる人はそっ閉じしましょう。

ちなみに、僕がガルガンティアに関してわりと詳しいのは、五十嵐研究室としてマシン・キャリバーのモニターイメージ協力したからだったりします。ふだんの研究とは違う頭を使う、楽しい経験でした。

翠星のガルガンティア

翠星のガルガンティアは、話数が進むにつれ、主人公のレド少尉が属する人類銀河同盟と、敵対勢力であり、イカのような見た目をした宇宙生命体ヒディアーズの関係が明らかになっていきます。二つの勢力は、もともと同じ人類であったこと。宇宙に対する適応の方向性の違いから、袂を別ったことなど。

人類銀河同盟は、人が人のかたちを保ったまま宇宙時代に生き抜くことを重視し、人が乗り込めるロボットや宇宙船を開発しました。作品に出てくる宇宙船は主人公が乗る機体から母艦まですべて人型をしています。人型ロボットは目的によっては非効率なのに、どうして人型にこだわるの?というのは掃除ロボットのルンバなどが出てきてからわりと定番の、誰もが抱く疑問になってきています。そして、「リアルな感じ」が大事なSF作品には致命的な「嘘っぽさ」を感じさせるポイントにもなっていると思います。本作では、人類の人型崇拝主義にその理由を帰着することで疑問に答えています。こういう答え方は今までになかったので面白いですよね。

マシン・キャリバーと呼ばれる人類銀河同盟のロボットは、生身の人間よりも様々な点で優れた人工知能を搭載しています。例えば、戦闘時に攻撃対象になりうる生物を瞬時にリストアップすることができます。ただし、敵性認定はできません。コンピュータが得意な機械的な処理はマシン・キャリバーが行い、大局的な判断など、人にしかできないことを人がやる、というような分担が成立しています。マシン・キャリバーは、外界の環境に溢れている情報を収集し、分析して、人が五感で理解できるだけの情報量に圧縮して伝達しているとも言えます。人とマシン・キャリバーが神経接続されているような描写はありますが、もともと人が持っている情報交換のプロトコル(五感)以外の情報伝達はなさそうな感じです。これは、人を人のまま維持しながら、優秀な相棒を作ることで非侵襲的に人の能力を拡張するアプローチなのです。

一方でヒディアーズ(イボルバー)は、人体を生物実験で改変、改良し、宇宙で生きられる身体を獲得しました。どうやってビーム出してるのかは分かりませんが、とにかく人型を捨てて超人類に進化しています。マシン・キャリバーが持っているような機能を人の中に侵襲的に取り込んだ存在と考えてもよいでしょう。このように機能単位同士の結びつきが密になると、通信コストが減って処理速度が向上します。個体レベルで見るとマシン・キャリバーに乗った人類よりもヒディアーズのほうが強いのは、このためかもしれません。また、ヒディアーズは作中で人類銀河同盟と意思疎通できなくなっていますが、その理由も同様で説明できるかもしれません。つまり、生身の人が使う言語によるコミュニケーションは情報の流量が低く、宇宙での生活や戦闘には耐えなかった。それよりも高効率で情報のやり取りができるプロトコルを持つようになり、世代を追うごとにレガシーな言語を忘れていった、とか。要するにエボルバーとは、人の自我を失ってもいいから、生物として進化して宇宙空間に適応しよう、という侵襲的なアプローチなのです。

キルラキルとの類似性

それで(ようやく本題)、最近キルラキル見ていて思ったのは、人類銀河同盟のマシン・キャリバーとキルラキルの服って似てるなぁ、ということです。流子が喋る服、鮮血を着てる様子って、レドが喋る人工知能ロボット、チェインバーに乗り込んでる様子とダブって見えません?キル・キラレルじゃなく、ノル・ノラレルですが、どちらも優秀な相棒を得ることで個体としての実質的な身体能力その他を著しく向上させています。

キルラキルは、という、身体と外界の間にあって自分であり自分でないものがテーマです。鷲田清一の本を読み直したくなります。さておき、鮮血は流子の父が流子のためにあつらえた喋る服です。その声は流子にしか聞こえず、流子と助け合いながら戦い、新しい形態を獲得し、成長していきます。一方、他の生命繊維を織り込まれた服って喋りませんよね。最新話では、生命繊維は宇宙からきて人類征服を企んでいることが分かります。そして、生命繊維入りの服を着ている人類は、製造元のREVOCS社がその気になれば意思をコントロールできるようです。ちなみにREVOCSってCOVERSのアナグラムですね。いやぁ、人類が生命繊維に制服(征服)される暗い未来が見えます。

で、改めてガルガンティアのことを思い返してみると、あれは喋る「服」を着た人類銀河同盟と、「服」に取り込まれたヒディアーズの戦いなんじゃないかと思えてくるのです。マシン・キャリバーの人工知能は「パイロット支援啓発インターフェイスシステム」であり、環境とパイロットの間に挟まってパイロットと相互補完的な役割を果たしながら共に成長していく相棒です。あくまで環境に適応するための殻であり、その気になれば関係を切れます。一方で、ヒディアーズは超人類に進化する際に取り込んだ機能により環境に生身で接することができ、特別なインターフェースを必要としません。その代わり、自我を失い、種の存続という本能のみに従って生きているように思えます。実際は人に理解できない高尚な生を生きているのかもしれないけど…。

この先の話

最近の研究の流行と照らし合わせてみると、このトピックは暦本先生などが提唱しているAugmented Humanという言葉に深い関連があります。AHはかつてのAugmenting Human Intellect(知能の拡張)に対して身体能力も含めた拡張をうたっています。いちおう自我くらいは保ったまま拡張することを前提にして研究が進められているというのが僕の理解ですが、ともすればイボルバー的未来もあり得そう。いろいろ能力を拡張した人類が旧人類とちゃんとコミュニケーションできるか気になります。というか、ITでコンピュータの機能を生活に取り込んで能率を向上している人とそうでない人の間にはすでに大きな溝(ディジタル・ディバイド)があって、ある種のコミュニケーション不全が生じている感じがします。

あと、分かりやすく対比するために相棒進化という言葉で書きましたが、相棒というのは正確じゃないなあと思います。チェインバーも鮮血も、キャラクター性はありますが、人と対等に向かい合う存在じゃなくて人類を補完する目的で作られたインテリジェンスを持つ付属物ですよね。立ち位置としてはペットに近いけれども、ペットよりも機能性がある。自分の意思に従って動いてくれる。これって僕が研究で誰もが作れるようになってほしいと思っているものだったりします。誰もが持てるようになる、ではなく、作れるようになる、というところがミソです。一人ひとりが、自分の意思を反映した小さな分身を簡単に作れるようになってほしい。西遊記に登場する孫悟空が、自分の毛をフッとやって分身を作りますよね。そういう感じです。というわけなので、アニメには負けてらんないな、本分でも頑張らないとなあと思うわけです。

ガルガンティアのイボルバーはTV放映で明らかになった範囲では自ら進んで進化したことになってますが、より高位な存在によって進化を誘発されてたら丸っきりキルラキルと同じ物語構造になりますね。まぁそんなことはないだろうけど。というわけで、続編ではイボルバーが自我を失っていく進化の過程が見てみたいです!超ニッチかも。

キルラキルは、この先どうなるかなぁ。皐月お嬢様と流子の共同戦線はほぼ確定だと思う(新OPでも、少し離れてるけど同じ方向=REVOCS社の面々が待ち受ける方に歩いてる)。個人的には、生命繊維が自分で喋りだすかどうかが楽しみですね。今はお母様(鬼龍院 羅暁)が生命繊維対人類のインターフェースになってるけど、生命繊維そのものが鮮血みたいに喋るのかどうか。もしかして、手が異常に冷たいと鮮血に言われた針目縫が、実は生命繊維を体内に取り込む(あるいは、取り込まれる)ことに成功した新人類だったりするのか。わくわく。


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