加藤 淳博士(情報理工学)
研究内容
人とコンピュータの関係を考え、よりよくしていく学問 "HCI" の研究者です。とくに創作文化を支える技術的多様性に興味があり、創作支援のためのユーザインタフェース、ツール、環境設計を専門としています。統合開発環境 (IDE)でプログラミング体験 (PX)を向上させる研究や、Webベースのツールで音楽動画やアニメの制作プロセスを支援する研究など、人々が創造性を発揮できる環境づくりに取り組んできました。
略歴
2014年3月 東京大学大学院 博士課程を修了。博士(情報理工学)。同年より国立研究開発法人 産業技術総合研究所 (AIST)研究員。2018年より主任研究員。同年よりアーチ株式会社技術顧問を兼務。2024年4月よりパリ=サクレ大学にVisiting Researcherとして滞在。 Human-Computer Interaction全般、とくにPXの向上や創造性支援に関する研究に従事。ACM CHI Honorable Mention (2013, 2015, 2023)やIPSJ/ACM Award (2021)など受賞多数。
近況
プロジェクト
プロダクト
以下の研究成果はクリエイタ向けのWebサービスやプログラマ向けのAPIとして一般公開されています。
研究トピック
人々がAIを活用しながらコンテンツ創作を行いたいと思える創造的な社会を実現するためには、コンテンツが次の創作を触発する持続可能なエコシステムの形成が重要です。
私は、そうしたエコシステムにおいて人々とコンテンツが織りなす創作文化が果たす役割に着目し、コンテンツの創作・流通過程を支援する創造性支援環境 (Creativity Support Environments)を実現することで、創作文化を工学的につくり支えるインタラクション技術の確立を目指しています。
これまで、科学技術全般に広く関心を持っていろいろな活動をしてきました。古くは立花隆ゼミで科学技術メディアサイト構築に携わり、その後も科学技術コミュニケーションに関心を持ってきました。
自身が研究職に就いてからは、研究成果の社会展開へ継続的に取り組んできたほか、科学技術の研究が切り拓く未来についての論考を書いたり、設定考証に携わったりしてきました。
ユーザインタフェース設計に関して、基礎理論からデザインの評価手法、デザインで気をつけるべきポイント、最近のホットトピックまで幅広く紹介します。
プログラミングは今よりもっとソーシャルな行為であるべきです。プログラミング環境は、プログラマのためだけの環境である必要はありません。むしろ、多様な技術的背景を持つ人々のために設計されるべきです。
私は、プログラミング環境の設計を包摂的にする工夫により、プログラミングを通じたコミュニケーションが成立し、すべての人々にプログラミングによる利益──ひいてはエンパワーメントをもたらすことができると考えています。
Live Programmingは、プログラム実行時の情報を参照しながらプログラムを編集できるようにするプログラマ向けのインタラクションデザインです。プログラムの情報をプログラマへどう提示するか、プログラマの編集意図をどう汲み取るかというHCIの観点が極めて重要です。
私は、Live Programmingのためのユーザインタフェースの提案を通して、その応用範囲を拡大する研究を行ってきました。例えば、プログラマとユーザによるプログラムの共同開発支援や、実世界のプログラミング支援などに取り組んできました。
Programming with Examples (PwE)は、プログラマがインタラクティブなアプリケーションの開発を行う際にExamples (例示データ)の助けを借りる開発手法です。通常の統合開発環境には、例示データの可視化と管理のための機能はありません。そこで私は、統合開発環境に特別なユーザインタフェースを追加することでPwEを支援する研究を行ってきました。
PwEは、IoTデバイスの開発、画像処理、動画編集、機械学習など、大量のデータを扱う必要のあるアプリケーション開発において重要な役割を果たす開発支援技術です。
すべての研究プロジェクトを見るには「プロジェクト」をご覧ください。
連絡先
電話とFAXはチェックしていないことが多いため、メールかソーシャルネットワークサービス経由でのご連絡をおすすめします。